毎日が初見の父
小中学生のころ、映画好きだった私は父と、毎月映画館に連れて行ってもらっていました。
友達と行くのも楽しいですが、父と行けばすべて費用が父持ちで、ファストフードではないランチもつくので、それもまた楽しみの一つでもありました。
しかしこの父、映画のあらすじをまったく覚えていないのです。
数年一緒に通っていると、人気作なら「2」もロードショーされて、それも一緒に見に行くわけですが、

「1」のあらすじを忘れているので、「2」のストーリーにすぐ追いつけない事態に…。
とはいえ、シリーズものとはいえ、たいていは初見でもそれなりに楽しめるようにできているので、そこそこ楽しく観ているようなのですが、なんでお金を払ってそんな「帰りの飛行機でたまたまやっていたから観た」的な観方をするの…。
映画好きだった私は、200本以上の作品のあらすじを説明できたし(ちなみに説明自体は下手くそ)、毎回すするように貪欲に作品に向き合っていたので、父のこの態度がまったく理解できなかったし、なんなら引いていたと思う。
しかし、最近、私にもこの父と同じ兆候が…。
マンガの新刊の内容が追えないのです。ドラゴンボールなんかセリフ完コピできたのに…。それはそれでキモいけど、現在わが子が鬼滅の刃で同じことしているので、好きすぎるとたぶんすべて吸収したくなるんでしょうね。
それはそれとして、今の私は前回の巻がどうやって終わったか覚えていない。HUNTER×HUNTERなんか2~3冊遡らないと思い出せない。たまたま寄ったコンビニにさも新刊かのような顔をした「ジョジョリオン」を「あ、新刊出てる」と買って家に同じ巻を2冊お迎えする…。
父は小説も好きで、子供のころは本屋へお遣いに出されたこともしょっちゅうだったけど「1回読んだけど、内容を忘れたし、また読みたい。しかも、本棚のどこにあるかわからない(正確には本棚にはなく、机に積み上げられた山のどこかにある)」という理由で2回目の購入に行かされた時は引いたけど、ごめん、いまならわかる。見つからないから買いに行く、というバブル期の発想はないけど、まったく覚えていないけど、なんかすごい面白かったという幸せな記憶だけが残っているのでまた読みたい、という気持ちはめちゃくちゃわかる。
あと、なんかわからないけど父がこれを自分の「おトクポイント」と認識しているのがうらやましい。私には多少コンプレックスであり「脳ドック行ったほうがいいのかな…」と多少気に病む出来事なんだけど。元気で長生きしておくれ。
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